
日本へのライスペーパーの導入
ユウキ食品は、1993年からベトナムからライスペーパーの輸入を開始しました。
そのきっかけは、1986年に始まったベトナムの「ドイモイ政策」にありました。
日本の輸入担当であるユーキトレーディングの担当者がベトナムを訪れ、
現地の名物料理である「生春巻き」に感動したことが大きな転機となり、
その美味しさを「日本の皆様にも伝えたい」との想いから、ライスペーパーの輸入を決意し、
その思いを受け、ユウキ食品での日本国内販売を創業者の田中晃が開始しました。
当時、日本にはライスペーパーはほとんど流通しておらず、
ユウキ食品は日本市場にライスペーパーを初めて紹介した企業とされています。
初期の課題
ライスペーパーの輸入は非常に困難なものでした。
まず、ベトナムにはライスペーパーを作る工場が存在せず、ユウキ食品は農家を一軒一軒訪れ、
手作りで作られたライスペーパーを集めて、日本に直接輸入するところからスタートしました。
しかし、このライスペーパーは農家ごとに手作りされていたため、厚さや色、形が均一ではなく、
さらに天日干しで作られていたため、穴や割れ、匂い、竹くず、虫、砂などの自然の付着物も多く、
商品として販売するにはかなりの手間がかかりました。
品質管理と現地での取り組み
ユウキ食品は、現地での品質管理体制を確立するために大きな努力を重ねました。
まず、現地で2回の検品を実施する目視体制を整え、選別を徹底しました。
また、品質管理の指導と育成を行った結果、現地で日本市場向けのライスペーパーを製造できるようになりました。
この取り組みにより、ライスペーパーは日本でも次第に受け入れられ、需要が高まっていきました。
さらに、ライスペーパーを広めるために現地で調査を行った結果、
タイ産のスイートチリソースが生春巻きの付けダレに最適であることが判明しました。
これを活かして、ベトナム産ライスペーパーとタイ産スイートチリソースをセットで販売するキャンペーンを開始しました。
また、スーパーでのマネキンを使った実演や料理指導を行い、
日本市場にライスペーパーを定着させるための地道な営業活動を続けました。
加えて、現地にはユウキ食品の社員を派遣し、ライスペーパーの食べ方や作り方をユウキ食品社員に習得させました。
工場増設と品質向上
需要の増加に伴い、ユウキ食品は現地にユウキ専用の検品ラインの増設を決め、品質向上に努めました。
しかし、初めは日本の衛生基準とは異なる環境での生産が行われていたため、
ユウキ食品の社員が毎年現地に赴き、徹底した指導を行いました。
この長年の努力が実を結び、現在では、世界から注目される高品質なライスペーパーを
製造する工場を作り上げることができました。